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暮らしと性能

この住宅は庭に面したリビングの窓辺を中心に、様々な居場所がひとつの空間の中でつながり合った構成となっている。1階と2階を合わせるとかなり大きな気積となるが、それでも室温が安定するよう断熱・気密性共に高い水準であることが求められた。

施工性とコストパフォーマンスに優れたグラスウールのブロー式断熱材を採用し、後貼り気密シートによって高い断熱・気密性を確保する(UA値:外皮平均熱貫流率=0.45、C値:相当隙間面積=0.5)。地域性を考慮すれば冬季であっても上記の性能で室温が下がりすぎることはないし、エアコンを1台稼働させるだけで室全体を快適な温度に維持することができる。また闇雲に窓を増やすと断熱欠損やコールドドラフトを招いてしまうから、大きな開口部はリビングの吹き抜け周りに限定した。その他の窓は役割を明確化し、なるべく絞り込んでいる。

外皮や窓の性能を定量化して数値に置き換えることは住宅建築の昨今の潮流である。しかしその中にあるのは定量化できない家族の暮らしであることも忘れてはならない。今回、暮らしと性能を横断的に計画することで家族の居場所の広がりを実感することができた。朝方、リビングの窓辺から太陽の光がじんわりと全体に広がると、暖かさと一緒に家族の時間も少しづつ家の中をめぐっていくのである。

建築場所 静岡県
用  途 専用住宅
構造規模 木造2階建
写真撮影 スタジオメロス

設計担当:大倉健、大矢雅祥


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