二律背反性を持つ
敷地は大井川町の主要道路である国道150号沿線にある。敷地北 側は国道に通じている交通量の多い道路に接し、反対に南西側は 住宅地に隣接している。
私達は、「店舗=意匠性と環境配慮」と「住宅=居住性とプライバシ ー」という性質の異なる二つの要素に対しどの部分を開放させ、どの部分を閉鎖するかということを、周辺環境や内部空間で行われる行為から読み取り構成していくことで、「店舗」と「住宅」のバランスをとりな がら成立させようと試みた。
敷地北、東側の道路に対して1階の店舗は大きな開口を設けること で、内部で行われている作業をアピールし認知させることができる。反対に2階の住居では最低限必要な採光や通風を確保する開口部 のみとし、騒音の軽減やプライバシーを確保した。敷地南側について も、1階の店舗では地窓とすることで作業場の照明光が隣家にとってまぶしくならないように配慮し、2階住居部分は、採光や換気、開放感などを得れるよう窓が連想している。さらに前面道路側では店舗性を損なわないように換気扇などのベントキャップや瞬間湯沸かし器、空調屋外機などが見えないよう配 慮している。
これにより出来上がったプランは周辺環境に対して二律 背反性を持ち、パブリック=白とプライベート=黒のツートンに塗られた立面と相まって、さらにコンセプチャルで印象深いものになっている。
また外構では、南側隣家との干渉帯としてマウンドと落葉樹が植えら れた庭が設けられ、お互いの視線や圧迫感を軽減させプライバシーを確保すると同時に、互いに季節を楽しむことができる箱庭としても存在 し、コミュニケーションツールの一つとして効果を発揮している。
店舗、住宅、周辺環境という3つの要素の関係が良い距離感で設計 できたことで、お互いがその存在を守り、尊重し、相乗的により密接な関係になっていく、そのような建築になった。
建築場所 | 静岡県 |
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用 途 | 店舗付住宅 |
構造規模 | 鉄骨造2階建 |
敷地面積 | 257.70m² |
建築面積 | 118.37m² |
延床面積 | 223.66m² |
設計監理担当:大矢雅祥、木村真輔(旧所員)
彩工房
静岡県志太郡大井川町相川1134-3
TEL:054-622-3353