囲い庭の平屋
敷地は、宿場町として栄えた島田市の中心に位置する。 周辺は、住宅が古くからある町並みに囲まれており、東側が空き地となっている以外、特徴のない様相といえる。
建主は、構造は木造であること、居間での生活を一番に重視し、かつ開放的でありプライベートも確保する、そして和を感じさせる空間を要望された。敷地の三方を住居に囲まれた周囲の環境からは、居住する主な空間を切り離すことを意図し、自らが庭を囲む構成とした。囲い庭を中心に、前面の南側には玄関、和室、寝室を配し、奥座の北側には、リビングダイニングを配し、建物中心には、 リビングダイニングと同じ面積となる囲い庭(外部)を確保した。リビングダイニングと囲い庭の境には、約5.1m幅の大開口を設けている。開口部には障子、ガラス戸、網戸の3パターンの木製建具を用意し、3パターンの建具を全て壁内に収納できるようにした。建具の存在を消すことが可能な大開口は、囲い庭と居住空間の1対1の関係をより強調するものとなり、 周囲の町並みからは切り離なされた場と意識できる空間を齎すことになった。
和室は、玄関から奥座のリビングダイニングに繋がる動線の一角に位置する。平面構成においては、この和室が玄関から奥座への動線上に緩やかに繋がるように境となる壁を排除し、 障子だけで区画できるようにしている。またこの障子も壁内に収納させることで、 内部空間においても用途を限定しないものと置き換えることが可能となった。
この家では、ここに日々住まうクライアントの用途や心情に合せ、空間が変化し、包み込むような空間を創意することを目指した。
建築場所 | 静岡県 |
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用 途 | 専用住宅 |
構造規模 | 木造平屋 |
敷地面積 | 477.97m² |
建築面積 | 126.35m² |
延床面積 | 122.02m² |
設計監理担当:大矢雅祥