均等から逃れる
この住宅は、住宅団地に建つ。
団地というマス目上に均一化された環境下に置かれる建築物は、どのようにしたら、その環境を利用し得ることになるだろうか。
設計者としては、様々な方向性が考えられるが、大きく分ければ2つに分類される。
まず一つは、均一を受け入れずコートハウスに見られる環境を敷地内で自己完結させる手法。もう一つは、団地という均一性の環境を受け入れ利用し、積極的にそこでの回答を試みる方法とで分けられるのではないだとうか。
私共は、この住宅での試みは、後者の手法をクライントと協議の中で模索していった。
団地というマス目上に仕切られた区画の連続の中で、前、横の住宅に整列するような配置計画から逃れるよう、角度を持ってこの住宅は計画された。
敷地中央に斜めに建つことで、建物自身に取り巻く4つの庭を得ることになった。4つの庭は、それぞれの機能を持ち、また前、横の住宅とも直接的な視線の交錯も軽減することにも繋がった。
東南、南西からは、前両隣の住宅の隙間から良好な日射と通風を得、4つの異なる外部空間には、それぞれの違った機能を持たせることにより、敷地全体を余すことなく使用できることにもなった。並行し建物が配置されないことにより、自らを中心に、前の家、後ろの家、両隣の家の意識が心地よいズレが生じることなり、団地の一角に建つ意識も結果、薄れるものに成りえたのではないか。
建築場所 | 静岡県 |
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用 途 | 専用住宅 |
設計監理担当:大矢雅祥、大和園子(旧所員)