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私の家

愛される建築を目指して

私は、小学校の卒業文集で将来の夢を「建築家」と決めていた。
幼い頃に、何度か空間に圧倒され背中がゾクゾクする感覚を今尚、覚えている。到底、建築を理解していたのではなく、気持ちの良い空間を見た際に、良い音楽を聴いた感覚と似た感動を体全体で感じていた記憶がある。
自然と建築を学ぶようになり、組織事務所で修行の末、独立し自ら事務所を構えるようになり、建築の魅力と建築家の存在が真に見えてきた。
今の心境は、ただ単に、愛されるものをつくりたい。建築に携わるものとして、きちんと良いものを提供したい、そんな思いだけに駆られ、小さな建築であるが、私ながらの全力で日々、時間を費やしている。
あれもこれも出来るといったメディア受けする物づくりからは距離を置き、建築家に問われる思想と品格を得ようと日々、葛藤している。
私にとって、建築に対する姿勢を見て頂きたく為、自邸でそれを形にした。プランや造形的な派手さは無いが、建築本来の魅了を追い求める姿勢を、建築でダイレクトに伝えたい、そんな思いを具現化しただけの建物である。
建築家に求められる空間の質、建築家に求められる職能は、果たして現代社会に、その存在価値を与えられているのだろうか…。多くのメディアでは、空間の派手さに自己満足した建築がもてはやされ、現代社会に於ける建築家は、住まいを提供する職として、社会そのものの心を鷲掴みしているのだろうか…。
住宅を取り巻く環境がより高度に商品化や企画化される中、建築家の役割を見つめ直すため原点に返り、建築そのものが日常で愛されることを目指した。

建築場所 静岡県
用  途 自邸兼建築設計事務所
構造規模 鉄骨造 2階建て

設計監理担当:大矢雅祥


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